新しい家族。

  • 2019.08.29 Thursday
  • 14:01

 

 

「今日は太一の誕生日…。」

さやかは弟のことを考えていました。

小さな町のスーパーで買い物をして

隣のケーキ屋さんとおもちゃ屋さんに足を運びます。

 

おもちゃ屋さんには、たくさんのぬいぐるみが積んでありました。

「まぁ、珍しい!ドラゴンのぬいぐるみ…。」

さやかはドラゴンにリボンをかけてもらい、帰り道を急ぎました。

 

さやかには弟の太一と妹の美央がいます。

去年の暮れ、火事で両親を亡くしてからは、母親代わりに弟と妹の世話をしているのです。

 

今日の夕ご飯はほうれん草のキッシュとサラダにクリームシチュー。それから小さなケーキを三人で分け合いました。

 

「太一、お誕生日、おめでとう。」

さやかは太一にドラゴン、美央には着せ替え人形の洋服をやり、弟も妹も、そしてドラゴンも、心がぽかぽか温まりました。

 

次の日。

ドラゴンは美央にスカートをはかされて困っています。

ドラゴンは太一に「ドラ」と名付けられて男の子として迎え入れられたのに…。

美央とドラの横でバービー人形がからかいます。

「ドラ、スカート、とってもお似合いよ。」

ドラはすねて黙り込んでしまいました。

 

太一が帰ってきました。

美央がドラと遊んでいるのを見て目をつり上げて走り寄ってきます。

「ドラは僕のだぞ!」

美央はドラを取り上げられて泣きながら、さやかの方へと駆けていきました。

太一はスカートの代わりにネクタイを締めてやります。

「ドラは男の子だからネクタイが似合うね。」

美央はまだ泣いていて、ドラまで悲しくなりました。

 

さやかは美央を連れて太一のところへ来て言います。

「太一、美央もドラが好きなの。太一がいない間は貸してあげて。お兄ちゃんでしょ。仲のいい家族にならなきゃ。ね!」

 

それからずっと、ドラはいつもふたりの間を行き来しました。

ネクタイ、次はスカート、またネクタイ、そしてスカート…と大忙しです。

美央はもう泣かなくなり、ドラはそれを一番うれしく思いました。

 

「どう?スカートも似合うだろう?」

ドラは家族の笑顔を見て安心するのでした。

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